
平安時代の初め、真言密教の根本道場を築く地を探されていた弘法大師は、大和の国の山中で、白黒二匹の犬を連れた筋骨隆々の不思議な狩人と出会いました。
ふさわしい霊地を知るという狩人の言葉にしたがい、二匹の犬に先導されて弘法大師は天野の地へと足を踏み入れます。
すると弘法大師の前に丹生都比売大神が降臨され、先ほどの狩人が狩場明神(高野御子大神)であることをあかすと、根本道場を建立する霊地として、神領の高野山をお授けになったのです。
白黒二匹のご神犬に導かれた高野山開山の物語は、「今昔物語」や「金剛峯寺建立修行縁起」などに記され、広く知られています。
このご神犬は、幸せや良縁に導く「みちびきのご神犬」として親しまれ、天野をはじめ高野山麓の各地に伝承を残しています。


織田信長の高野山攻めの時にも、ご神犬が現れて織田軍を追い払ったと伝わります。
ご神犬 すずひめ号 大輝号現代の「みちびきのご神犬」として奉納された紀州犬(天然記念物)の親子です。
毎月の公開日、また神事や催事でも活躍中です。





毎月16日(10月をのぞく) 午前10時から11時30分/午後1時から2時30分
※ご神犬の体調により中止となる場合もございます。
ご神犬 しろまる くろまる公募で選ばれた神社公式キャラクター。紀州犬の双子の兄弟です。
広報やSNSで活躍中です。





ご神犬の授与品


天然記念物 紀州犬紀州犬は、紀伊半島の山間部で古くから飼われてきた地方犬種の総称です。かつては狩猟犬として飼育され、特にイノシシ猟については右に出る犬種はありません。
普段はおとなしく悠然としていますが、いざ猟となれば鋭い注意力で獲物を探し、大きな相手にも果敢に立ち向かいます。その一方で飼い主には従順でしつけもしやすいとされています。日本古来の犬種として、昭和9年に国の天然記念物に指定されました。
毛色は白が多く、ほかに胡麻と赤がみられます。ピンと立った三角形の耳と、ハマグリ型といわれる目のかたちが、紀州犬の特徴です。また、狼爪と呼ばれる後ろ足の五本目の爪を持つものが多く見られます。
紀伊半島北部では「明神犬」や「高野犬」と呼ばれ、丹生都比売神社の「みちびきのご神犬」が祖先と伝わります。一方、南部では「熊野犬」や「太地犬」と呼ばれ、峰弥九郎という猟師の飼っていたニホンオオカミ「マン」が祖先と伝わっています。
ニホンオオカミは恐れられつつも、その一方で神の使いとして崇められてきました。和歌山が生んだ大博物学者・南方熊楠も、太地犬にニホンオオカミの血が流れている可能性を考察しています。なお、遺伝子的にも紀州犬とニホンオオカミはゲノムが2~4%一致するため、近縁種であることは間違ありません。
紀州犬は、丹生都比売神社のご神犬と神の使いニホンオオカミの血と記憶を受け継ぐ、誇り高い犬種なのです。
和歌山県のPRキャラクター「きいちゃん」、和歌山県警察シンボルマスコット「きしゅう君」も、紀州犬がモチーフになっています。


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和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
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