天照大御神の妹神であり稚日女尊とも称されます。古来魔除けとされた赤い顔料「丹」をつかさどり、あらゆる災厄を祓う女神です。丹からは水銀も精製されることから、水銀の持つとされた不老長生などの神秘的な力もつかさどります。神代に天上から降臨し、紀伊国と大和国一帯を巡幸して、農耕と機織を広めたと伝わります。のちに神領であった高野山を弘法大師へ授け、高野山の総鎮守、真言密教の守護神となりました。また、元寇をその御神威により退けたことから、勝利と成功を導く女神としても崇敬を集めました。神功皇后をはじめ北条政子、淀殿ら歴史に名を刻む女性たちから崇敬されたことから、女性の守り神ともみなされます。
丹生都比売大神の御子神です。白と黒の犬を連れた狩人の姿に化身し、弘法大師の前に現れたとされます。この白と黒の犬に案内をさせ、弘法大師を丹生都比売大神の待つ天野の地へと導きました。そのことにちなんで導きの神・みちひらきの神として信仰され、そのお使いの御神犬も「みちびき犬」として親しまれています。また、高野山の僧侶の修行を邪魔する魔を、弓で射て追い払うとも伝えられています。
五穀に象徴される農業と食物を司る女神です。丹生都比売大神の「往昔の友(旧友)」とされ、鎌倉時代の託宣により、越前の気比神宮から勧請されました。
航海と財運、芸能を司る女神です。七福神の弁財天とも称されます。大食都比売大神と共に、託宣によって安芸の厳島神社から勧請されました。
鎌倉時代の高野聖である行勝上人は、当社の発展に尽くした僧です。丹生都比売大神の託宣を受け、北条政子に働きかけて第三殿、第四殿を建立し、大食都比売大神と市杵島比売大神を勧請しました。その功績により神として祀られています。
明治39年の神社合祀政策に伴い、当社に関わる三沢明神(奥之沢・中之沢・柳沢)をはじめ、上天野地区の諸社を合わせてお祀りしました。和歌山の生んだ大博物学者・南方熊楠らの運動により、神社合祀政策が廃止されると、三沢明神は元の鎮座地に戻されました。
弘法大師は、高野山上に壇上伽藍を建設するにあたり、まず始めに丹生都比売大神と高野御子大神をお祀りする御社を築きました。御社では、大神たちを明神とお呼びし、高野山の僧侶だけではなく、巡礼者や参拝者の守り神でもあるとします。
その拝殿である山王院では、竪精論議などの重要な問答や、明神に捧げる法楽が執り行われます。御社は、今もなお高野山の僧侶によって大切に守られ、お祀りされています。
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和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
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(毎日午前8時45分から午後4時30分)